ココロモチ時代遅れ

何事もちょっと古めが好き、でも面倒すぎるのはパス(笑)

【小説】森見登美彦(もりみ とみひこ)

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最近、「夜は短し歩けよ乙女」が舞台化されたそうですね。
他にも漫画化やアニメ化された作品があり、若い人に人気だそうですが、私も大好きです。


「作者の頭の中、一体どうなってんの?」と思うくらい、とにかく奇想天外かつ笑える展開で、読んでいると気持ちが上向きます。フザけた話を真顔で語る、というお笑いの王道を行っていますね。また、古風な言葉や言い回しを多用しつつも、実にリズミカルな文体で流れるように読むことができ、話の内容もさることながら「読むこと」そのものがとても楽しいです。メディア展開されたものしか視聴されていない方は、この楽しさを知らないのでは?と思ってしまいます。だとしたら、とてももったいないです。(ちなみに、同じく奇想天外な展開かつ「読むこと」そのものを楽しめた作家に安部公房があります。こちらは澱みまくる文体で超読みにくいですが😁)


私は「有頂天家族」から入り、その続編、「太陽の塔」、「夜は短し歩けよ乙女」、「ペンギン・ハイウェイ」、「新釈 走れメロス」、「宵山万華鏡」をそれぞれ2回読みました。「有頂天家族」はタヌキたちと老いぼれ天狗とその天狗に育てられた天狗より強い娘が京都を舞台にドタバタする話で、比較的万人向け、「太陽の塔」はモテない男子学生が自分たちだけの高みを目指して奮闘する話(?)で、私のようにネクラではないが全くモテない青年期を過ごした男性諸氏にはかなりウケると思います(「夜は短し~」よりも硬派。もちろん「硬派」の向きはあさっての方向)。


どれも屁理屈満載、しかし嫌みがありません(同じく屁理屈満載の土屋賢二著「われ笑う、ゆえにわれあり」は、嫌味ったらしくて全く笑えず、私には珍しくリタイヤしました)。そしてちょいエロ満載、しかし爽やかに流していきます。名人芸ですね👏


一点だけ気に入らないのは、別の作品の登場人物や設定がちょいちょい顔を出すこと。ファンサービスなのかもしれませんが、私はそういう内輪ネタみたいなのが好きではありません。


それを差し引いても、やはり抜群に面白いです!この記事を書く過程で、かねてから読みたいと思っていた「恋文の技術」のkindle版が出ていることに気づいたので、近々読むつもりです。